これって故障?針ずれとは

針ずれ

精密さの裏にある秘密

GreenTime担当の川野です。
 
腕時計を使っているとちょっとした疑問がでてきます。一例を挙げると「針がずれている」というのはアナログ式の時計ではよく見かける光景です。今回はそのアナログ時計ならではの【針ずれ】について紹介します。

針ずれとは

針ずれ
 
秒針をよく見ると止まっている位置が少し右にずれているのが分かると思います。これが『針ずれ』です。見た目は故障と思えるかもしれませんが時計が正常な動作をしていても起こります。

針ずれの原因

時計を動かしているのは歯車です。その歯車はしっかり噛み合っているわけではなく『バックラッシュ』と呼ばれる隙間があり、その隙間によって針ずれが起こるというわけです。

バックラッシュがある理由

バックラッシュがなぜあるのか。腕時計が壊れてしまう原因として理由がいくつかあり、それらを避けるために設けられています。

熱による膨張

温度によって部品は僅かながらでも大きくなります。その差は微々たるものですがバックラッシュがないと動作に影響を及ぼす場合があり、最悪止まってしまいます。

部品のゆがみ

部品は温度変化だけでなく、使用した時点で何らかの変化が伴います。また、時計の向きによって力の加わり方が変わり部品が変形してしまう場合があります。バックラッシュを設けることでそういった多少の歪みが発生したとしても動作できるようにしています。

歯車の摩擦

歯車は主に金属でできているため使っていると削れてきます(いわゆる金属疲労)。バックラッシュがなければ常に歯車同士が接している状態になり、常に金属に負荷がかかっていることになります。部品を長持ちさせるためにもこういった隙間が設けられています。

部品の破損

例えば腕時計を落としてしまった。その場合に中の歯車が逆回転など思わぬ動きをしてしまう場合があります。そういった思わぬ動きから連鎖して他の部品が破損してしまうような事故から守る手助けをしています。余分な隙間があることで、無理にかかった力を逃がすような役割があります。

クロノグラフの針ずれ

アナログ時計だけでなく『クロノグラフ機能』にも針ずれが起こる場合あります。
針ずれクロノグラフ
クロノグラフにも同じくバックラッシュが設けられているため若干のズレがあります。
 
ズレがひどい場合はリューズを引き、クロノグラフのボタンを操作すれば調節することができます。ほとんどのクロノグラフはスタート/ストップのボタンで秒、リセットのボタンで分を調節できます。

まとめ

正確に時間を刻む時計の裏側にはその正確さを守るためのズレがあることは驚きました。こういった細かい配慮は今までの時計を作り上げてきた職人の思いが多く込められているのだと実感しました。